ミドルキャリアをゆるやかに歩く

Rotterdam School of Management留学

オランダMBA留学、欧州生活、その他

スコアメイク失敗からオランダMBAに合格するまでの話

2018年6月にオランダのロッテルダムにあるRotterdam School of Management(以下RSM)から合格を頂き、2019年1月から2020年3月までロッテルダムに行く予定の僕の合格体験記みたいなものです。海外MBAといえばまずランキングが気になると思いますが、RSMはFinancial timeのGlobal MBA Ranking 2018で37位、European Business School Rankings 2018で9位となっており、欧州トップスクールの一つと言えます。
 
このブログ自体、別に誰にも読まれなくても良いとは思っているのですが、一応以下のように思ってる人には何か伝わるものがあるかもしれないとも思ってます。
 
海外MBAに行こうと思ってるけど、
■スコアメイクが無理ゲー
■エッセイも無理ゲー
■なので結局、ハイスペックな(帰国子女、高学歴で英語できる)人しか海外MBAなんて行けない
■準備費用もかかりすぎる
 ってことで諦めた、諦めそうな人。
 
上記は僕がMBA検討/準備段階からずっと思ってることです。周りの友人や同僚等とMBAに行くという話をすると、MBAを少し考えたことはある(例えば、GMATをなんとなく知っている)人も結構いました。どの段階まで具体的に検討したかはわかりませんが、出願準備の煩雑さ、スコアメイクの難しさ、高額な受験準備費用、と壁は多いので出願までたどり着かずに断念した人も多いのではないかと感じています。出願をやめる選択は自由ですし、まだ授業も始まっていない僕が言うのもおかしいですが、上記のような理由でMBAを諦めてしまうのはもったいないし、状況に応じた対応をすればなんとかなると思ってます。
 
日本人MBA留学者のブログや合格体験記はいくつもあって、その多くは何とか努力してそれぞれの目標とするMBAプログラムに参加するための目標スコア(TOEFL100、IELTS7.0、GMAT700くらい)を達成しています。僕は目標スコアには到達できませんでしたが、目標だった欧州MBAには行けそうなので、その経験を振り返っていこうと思います。
スコアメイクに関しては結果を全く出せてないうえに参考にならないので、勉強法を書くつもりはないです。成功している人の情報もたくさんありますし。
(本当に低スコアで入学許可を頂いたので、コレを書いてどこかから怒られたりしないか心配ですが…怒られてから対応することにします。)
 
【出願データ】
出願先(1校):Rotterdam School of Management, Erasmus University
学歴:明治大学/経営学部 
仕事:会計ファーム/アドバイザリー
GPA:3.0
IELTS:6.5(L7.0、R7.5、W6.0、S6.0)
GMAT:520(Q43、V19、IR6、AWA4.0)
私費/社費:私費 
 
【キャリア】
2011年3月に大学卒業、公認会計士試験に合格して会計ファームに入社し、会計監査、M&Aアドバイザー、企業再生業務に従事していました。所謂グローバルファームですが、仕事で英語を使う機会は時々ある程度で海外に行く機会はありませんでした。システム開発、プラント建設、自動車部品製造、葬儀屋、精密機械製造、産業廃棄物処理、旅館、保険代理店、等の企業に関与してきました。
会計ファームで提供できる業務領域の中では割と幅広い経験ができ、このまま専門家としてのキャリアを継続することも考えられました。しかし今回、 多様な人材が集まる環境で、財務会計領域以外の知識やネットワークを獲得し、専門業務のみに従事してきた自分の強み弱みを明確にして今後に活かしていきたいと考え、海外MBAに行くことに決めました。
 
【Why MBA?】
出願するにあたり必ず深堀しなきゃいけない項目ではあるのですが、卒業後にこれをしたいという明確なものはありませんでした。以下の3点が主な理由です。
 
■Alumniが楽しそう
大変なことも多いと思いますが、現地に住んで学んで多くの人と交流して起業して…とチャレンジしている人たちのような経験を僕もしたいと思いました。MBAを経験された方で、行かなきゃよかったと後悔してる人に会ったことがないです。(悪く言うような人をキャンディデートに紹介しないかもですが) また、最終的に僕が海外MBAに行くことを決めたのは、スペインのMBAの方に体験談を聞けたことです。
 
 ■海外(特に欧州)に住んでみたい
ふわっとしてますが。海外経験がなく日本人以外と実務や学業をしたこともほぼないので、海外の知らない土地に住んで知らない人達と交流を持てるだけで楽しそうだと思いました。現職を辞めて海外移住とか海外転職という手もありますが、「現職の経験+海外MBA」というほうが社内外含めて今後の幅も広げられると思いました。
 
■視野を広げる
ありきたりですが、上記のように実務面での一番の理由はこれです。今までは財務会計の専門性を活かした業務のみに従事してきました。色々な分野で実際に活躍している世界中の同年代と利害関係のない状態で交流が持てる機会というのは、無給の状態で安くはない授業料を払ってでも体験したい、現在地を確認できるとともに、将来の可能性や視野を広げてくれるとても貴重な経験となると考えました。 
 
【スケジュール】
2015年くらい:MBAをなんとなく検討開始
2017年7月:スペイン旅行でIEとIESEに在学中の方に話を聞きMBAに行こうと決意 
        理由は「楽しそうだから」 
        スペイン3校(IE、IESE、ESADE)を目指し始める 
        IELTS対策開始(当時TOEIC850点くらい)
2017年9月:IELTS1回目(6.0) 最初にしてはいいんじゃない?と思う GMAT対策開始
2017年10月:IELTS2回目(6.5) 試験に慣れて点数上がる 7.0いけるんじゃない?と思う
2017年11月:IELTS3回目(6.5) Speaking5.5 まぁ次あるし、と思う
2017年12月:IELTS4回目(6.0) Speaking6.5 他は下がる 同上
2018年1月:IELTS5回目(6.0) あれ、全然伸びない そろそろやばいと思う
                     RSMのCV Assessment実施、AlumniとSkype面談(RSMいい感じだと認識)
2018年2月:IELTS6回目(6.5) 全科目スコア揃えば7.5も…と意味のないことを思う
                     GMAT1回目(520) 準備不足で敗北 受験者平均以下
2018年3月:カウンセリング利用開始 CVとエッセイ添削 RSM出願
2018年4月:インタビュー対策開始 RSMインタビュー@東京
2018年5月:オンラインインタビュー(Kira talent)
2018年6月:RSM合格を電話で告げられる
2019年1月(予定):Class of 2020開始
 
【学校選び】
正直、当初は2018年9月intakeのスペインMBA3校(IE, IESE, ESADE)を考えていましたが、以下の点を考慮してRSMを選びました。(〇:重要、△:考慮した)
 
〇卒業生の雰囲気、ダイバーシティ
僕にMBA留学を決意させてくれたのはスペインの日本人MBA生の方でした。その後の学校選びで複数のMBA生や卒業生の話を聞いていく中で、サポーティブな雰囲気でフィット感があったこと、様々な国籍やバックグラウンドを持った人が集まっている環境であることを感じ、RSMを志望校としました。
 
〇タイミング
期間は1年でも2年でもよかったんですが、準備を長引かせたくない、可能な限り早期(=2018年9月intake)にスタートするクラスに参加したいと強く思っていました。学校選びと出願タイミングの検討段階で子供ができ、2018年9月intakeの学校は不可能となったため、2019年1月intakeに変更しました。
 
〇立地、生活環境の良さ
せっかく海外に長期で住めるのであれば仕事で行く機会も少なそうな欧州がいいと思っていました。話を聞いたり調べたりする中で、オランダの物価、治安、言語、育児等は悪くないんじゃないかという結論になりました。僕は0歳児を連れていくので、小さい子を連れていく話が聞けたこともプラスに働きました。
 
〇要求スコア
やはりある程度以上のトップスクールのMBAに行きたいと思うと、スコアが求められます。色々なHPを見る限り僕のスコアは各校の要求スコアには到達はしていませんでしたが、卒業生や学校関係者と話を聞いていくなかで、このタイミングでの入学を実現できそうな学校を選びました。
 
△ランキング
高いに越したことはないとは思いますが、それほど重視していないです。僕の中では、Financial timesとかのランキング50位くらい以上に行ければOKと思っていました。
トップティアの外資投資銀行や戦略コンサルに入る可能性を高めたいのであれば、ガチのトップスクール(すみません、書き方は良くないですが)に入ることが重要だと思いますので、ランキングをもっと重視すべきだと思います。
 
【スコアメイク】
何とか費用をかけずにスコアを出したい、とできるだけ独学で取り組みました。
目標と実績は以下の通り。その乖離を見ればわかるように、完全に結果にコミットできませんでした。(以下、参考にすると目標スコアに届かない可能性がありますが一応記載します)
 
■IELTS
目標:7.0 (L7.5、R7.5、W6.5、S6.5)
実績:6.5 (L7.0、R7.5、W6.0、S6.0)
 
・概要
当初はスペインに行こうと思っていたので、その他多くのMBA志望者が目標とするのと同様、目標はOverall 7.0、理想としては7.5とりたいなと考えていました。スコアメイクに挑みながらも、早期出願できることも重要でしたので、出願タイミングになって目標スコアが達成できない場合はできないなりに対応を考えれば良いや、と思っていました。実際にその通りになってしまったので、最終的にはOverall 6.5で終了しました。
 
・学習方法
すべて基本的には独学で、公式問題集(8~12)をひたすら繰り返し、TIMEとかEconomistとかを読んでBBC Newsを聞いて、という対応をしていました。ReadingとListeningはいずれも7.5以上が取れるようにはなったので悪くはなかったと思います。
Speakingに関しては、通常業務で英語で話す機会がなかったため何か必要だろうと思い、DMM英会話でIELTS対策ができる講師と練習していました。月額6,000円程度とお手頃価格なので、英語のアウトプット環境がない人が毎日英語をしゃべる練習をするにはとても良いと思いますが、IELTS対策には不十分だとも感じました。WritingもSpeakingと同様ですが、やはり短期でスコアを上げるには、IELTSの知見がある人による添削が必要だと感じました。
 
■GMAT
目標:700 (Q50、V35)
修正目標:650(Q47、V30)
実績:520 (Q43、V19)
 
・概要
ありえないスコアで終了しました。とりあえずどこに出願するのにも困らなそうなスコアは700点かなと思い、当初はそこを目指しました。IELTSの伸びが感じられない中でGMATと並行して学習を続けていきましたが、結果的にどちらも効率が落ちた気がします。RSMを志望校としてからは、目標点は650に修正しました。やはり僕にとって重要度が高いのは早期出願だったので、とりあえず一度スコアを出そうと思い、全然準備できてないと感じながらも受験した結果、520点と惨敗しました。受験可能回数が限られている中、準備不足の段階で受けるべきテストではないのですが。エッセイやインタビューでは再度受験するとは伝えていましたが、再受験前に合格通知を頂けたのでこの超低スコアが最終スコアとなりました。僕はたまたま合格できたので運が良かったですが、一般的にはできるだけ早く再受験して高いスコアでアピールするべきだと言われていますし、僕もそうしたほうが良いと思います。
 
・学習方法
無勉強で受験してももっとまともなスコアが取れると思いますが…一応簡単に記載します。教材は濱口塾とインターナショナルマスアカデミー(マスアカ)とOfficial Guide(OG)を利用しました。濱口塾はオンライン講義1周と復習1周、マスアカは2周、OGは1周(+少し)の進捗、Prepは2回受けてみて700台は出ていない状況で受験しました。IRはOGで一応解いたのみ、AWAGoogle検索して見つけたテンプレートを受験直前に覚えてみました。当然ご理解頂いていると思いますが、決して教材が悪いわけではないです。
 
【エッセイ、インタビュー】
IELTSスコアを見ればわかるように、僕の英語力では洗練されたエッセイを出すことも、質問に適切な表現を用いて返答することも厳しい状況だったのでカウンセラーを利用しました。どちらも同じカウンセラーにお世話になりました。結果的に、そのカウンセラーなくしてはRSM合格はあり得なかったと思います。
 
■エッセイ
基本的には①自分でエッセイを作成してカウンセラーに送付→②コメント付きで返送されてスカイプ面談によるフィードバック→③自己分析のさらなる深堀と再提出→②に戻る…という流れでした。
アドミッションからは3月末までにすべて提出してほしいと言われていました。なんとなく自己分析やエッセイの構成を考えていたとはいえ、実際のドラフト作成から提出までは10日程度しかありませんでした。そんな中、カウンセラーには迅速で丁寧な対応をして頂き、本当に助かりました。
 
■インタビュー
同じカウンセラーから想定質問を入手し、それに対する回答を作成して練習しました。内容のブラッシュアップ、エッセイとの整合性の確認、よりよい英語表現への修正をくり返していきました。
RSMがAsia tourの一環で東京に来ていた際にインタビューして頂きました。想定質問からはそれほど外れていない内容(来歴、志望理由、実務経験の詳細、強み弱み…等)がほとんどでした。インタビュアーから「君のスコアに比してエッセイの英文が優れているが、本当に自分で作成したのか」と問われ、「カウンセラーのレビューは受けたが自分で作成したものだ」と回答したところ、「エッセイには君の英語力を見る意味もあるから、君だけで作成したものが見たかった」とコメントされ、落ちたと思いました。
 
■追加インタビュー
インタビューを受けてしばらくしてから、結果が電話できました。電話の前に、今後のプロセスに関して話したいことがあるとメールで言われ、合格とも不合格ともわからない連絡に不思議に思っていました。電話では、おそらく僕の英語力に不安があるからだと思いますが、追加でオンラインインタビューを受けるよう言われました。
オンラインインタビューは、Kira talentというWebツールを利用して行われ、録画された質問を聞いてこちらが回答を録画する、というものでした。ググれば色々出ると思うから練習しといて、と言われその通り準備して臨みました。Skypeインタビューのような形で、平日に会社から帰宅後、自宅で受験しました。
 
【推薦状】
プロジェクトでお世話になっている、それぞれ業務領域が異なる日本人の上司2名に依頼しました。プロジェクトは1か月程度のものがほとんどで直接の上司はプロジェクトごとに異なることが多いですが、関与期間の長い二人に依頼したところいずれもスムーズに対応してもらえたので、この2名に依頼できてよかったと思っています。
 
奨学金
奨学金はない前提で資金繰りを考えており、実際に奨学金をもらう予定はありません。
一応公認会計士協会の奨学金には書類を用意して応募しましたが、書類審査で落選しました。
その他の奨学金についてもざっと調査はしたのですが、スコアも低くMBA準備期間も短い中で、そもそも重要度が比較的低いところに労力をかけるのも違うかと思い、応募までは至りませんでした。
 
【出願準備費用】
できるだけ費用は抑えようとした結果、ざっくり以下のようになりました。個人的にはまぁまぁ満足しています。ただし、IELTSとGMATの結果が残せていない点からするとコスパは悪いです。("パ"がですね…)
■トータル:約70万円
・IELTS:約20万円(受験6回、教材費、DMM英会話)
・GMAT:約45万円(受験1回、濱口塾、マスアカ、OG)
・カウンセラー:約5万円(エッセイ、面接対策)
 
【総括】
なんとなく英語の自己学習としてTOEICだけ勉強している段階からスタートし、最短で海外MBAに行きたいとチャレンジし始めました。途中子供が生まれてスケジュールを再検討したり、仕事も忙しくなる中でスコアメイクに失敗したなりに勉強は大変だったり、エッセイ等の準備にも余裕はなく大変でしたが、最終的に欧州トップスクールの一つのRSMから合格を頂けて良かったです。
スコアメイク、学校選びも周到な準備や分析ができたとは到底言えませんが、そんな感じでもMBAに行けることになったので、特に同じようにMBAを目指す方に、「こんなやつでも行けるんだから自分も大丈夫だろ」と思ってもらえれば幸いです。スコアを見て早めに方針転換し、アドミッションに早期に連絡してみたことが良かったのではないかと思っています。
卒業後、長期的には何をしたいか定まっていないのですが、今回のMBAでいろいろチャレンジしつつ、振り返りの時間も持ちながら考えていきたいと思ってます。
支えてもらった家族や友人、推薦状等に対応して頂いた会社の関係者、カウンセラー等の関係者の方には感謝しています。